検証ラボ ── 2026-08-28

ForexTester 6 でティックデータを取り出す — 7時間を無駄にした設定の話つき

ForexTesterのデータはどこまで信用できるかで、22銘柄・17億ティックを検査した結果を書きました。

この記事はその手前の話です。どうやってそのデータを取り出したか。

公式のマニュアルに書いてある手順をなぞるだけなら、書く意味はありません。実際にやってみると、マニュアルに書いていないところで止まりました。エラーも警告も出ないまま、7時間を無駄にしています。

前提

項目内容
ソフトForexTester 6(デスクトップ版)
契約VIP(買い切り)。Advanced Data Feed が使える
取得した範囲22銘柄 × 3年(2023-08-25〜2026-08-23)
取得できたティック1,716,038,297件
ディスク使用約41GB

Advanced Data Feed は、無料枠や下位フィードとは別のデータです。bid と ask の両方を持っているので、提示スプレッドが復元できます。

なお ForexTester 6 はネイティブアプリで、ブラウザベースのソフトではありません。外部から自動操作する手段は限られます。

手順

1. データセンターを開く

データタブ → データセンター。左に銘柄のツリー、右にプロパティが出ます。

画面の下に「あなたはVIPサービスに登録しています」と表示されていれば、上位フィードが使える状態です。

2. ★ソースを確認する(ここが最大の罠)

銘柄をクリックすると、右の「ヒストリー」欄に ソース: が出ます。

ここが Advanced Data Feed になっているかを必ず確認してください。

私の環境では、銘柄によってバラバラでした。

銘柄初期のソース
BTCUSD / 貴金属 / 株価指数 / 天然ガス / エキゾチックAdvanced Data Feed
主要通貨ペア・クロス円(13本)Forexite

**Forexite はティックを持っていません。**この状態で更新をかけても、エラーも警告も出ず、4秒で「完了」と表示されるだけです。ファイルは1バイトも増えません。

私はこれに気づかず、夜間バッチを流したまま7時間を無駄にしました。

3. ソースをまとめて変える

チェックボックスを2つ以上入れると、右のパネルが「グループ ファンクション」に変わります。

  1. 対象銘柄のチェックを全部入れる
  2. 「ソースを変更」にチェックを入れる
  3. ドロップダウンで Advanced Data Feed を選ぶ(選べるのは Basic / Standard / Advanced の3つ。Forexite は一覧に出ません)
  4. **「設定を適用」**をクリック

同じパネルに「レバレッジを変更」もあります。触らないよう注意してください。

4. まとめて更新する

グループ ファンクションの状態なら、「サーバーからアップデート」がチェックした全銘柄に順番に適用されます。ダイアログの情報欄が「まとめて更新」になっていれば、その状態です。

1銘柄だけチェックした場合は個別モードになり、タイトルが「(銘柄名)」になります。

5. 期間を指定する

ここにも癖があります。

  • 一括モードでは開始・終了の両方が空で出ます。両方セットしないと進みません
  • **日付欄への直接入力は効きません。**カレンダーを開いて送る必要があります
  • カレンダーのヘッダは ◄ 月 ► ◄ 年 ► の並びです。年送りを先に、月送りを後にやると迷いません
  • 一括モードのカレンダーは「今日の月」から開きます(個別モードはその銘柄の最古日から開きます)

6. ダウンロードの種類を選ぶ

「ティックヒストリーをダウンロード」を選びます。「1分足、ティックデータをダウンロード」だと1分足も落ちてきて、その分だけ余計に時間がかかります。

結果

所要時間と容量の実測

銘柄ティック数サイズ目安の所要時間
XAUUSD(金)191,159,0645,105MB最も重い
BTCUSD133,365,3563,561MB約14分
EURJPY130,773,5023,492MB—
USDJPY93,167,3822,488MB—
NG(天然ガス)7,563,992202MB数分

22銘柄で合計約41GBでした。1銘柄あたり4〜15分程度で、銘柄によって10倍以上の差があります。24時間動くビットコインや、取引が厚い金・ユーロ円が重くなります。

ダウンロードは2段階ある

進捗ダイアログの表示が2回変わります。

  1. Downloading... — サーバーから取得する段階
  2. Updating ticks... — ローカルの ticks.dat へ書き込む段階

**ファイルは第2段階の完了時にまとめて書かれます。**途中はサイズが0のままなので、ファイルサイズを見ても進捗は分かりません。完了検知にしか使えません。

つまずいた点

「完了」は成功を意味しない

これが一番の教訓です。0件でも「完了」と出ます。

確認するなら、ファイルの実体を見てください。未取得のプレースホルダは ticks.dat がちょうど 560,004バイトです。これを超えていなければ、何も入っていません。

開始日を変えないと最古日から全部落ちる

既定の開始日は、その銘柄でサーバーが持っている最古日です。BTCUSD では 2005.01.23 と表示されました。

**ビットコインは当時存在しません。**サーバーが返す既定値であって、実データの範囲ではないということです。指定せずに実行すると、無駄に長い期間を取りにいくことになります。

上書きされる

ダウンロードすると ticks.dat は上書きされます。旧データは残りません。期間を変えて取り直すときは、前のデータが消えることを前提にしてください。

再起動で途中のファイルが壊れる

作業中に Windows のアップデートで ForexTester が再起動し、書き込み途中の銘柄が中途半端な状態で残りました。

サイズは1,287MBあったので、一見すると成功に見えます。ところが中身を見ると、2024年10月28日で切れていました。

したがって完了確認は、サイズではなく最終ティックの日付まで見る必要があります。

なお ticks.dat は丸めたブロックで先行確保されるため、4 + 件数×28 とファイルサイズは一致しません(数万バイトの余白が出ます)。ヘッダの件数が正です。

解釈

この手順で引っかかった箇所は、どれも**「失敗が失敗として見えない」**という共通点があります。

  • ソースが違っても、エラーではなく「完了」と出る
  • 途中で切れたファイルも、サイズだけ見れば正常に見える
  • 既定の開始日は、実データの範囲を意味しない

大量データを扱う作業では、成功の確認方法を先に決めておくほうが安全です。今回で言えば「最終ティックの日付を読む」がそれにあたります。後からでは、どこまで正しいのか分からなくなります。

限界

  • VIP(買い切り)契約での話です。無料枠や下位フィードでは、取得できる範囲も中身も違います
  • 2026年8月時点の画面です。バージョンが上がれば操作は変わります
  • **取得できる銘柄は22です。**仮想通貨は BTCUSD の1本のみで、イーサリアム等はありませんでした
  • データそのものの品質(銘柄によってスプレッドの性質が違う点)は別記事にまとめています。取れることと使えることは別です

まとめ

  • 22銘柄・17億ティック・約41GBを取得した。1銘柄あたり4〜15分
  • **最大の罠はソース設定。**Forexite のままだと0件で「完了」と出る。ここで7時間を無駄にした
  • **「完了」は成功を意味しない。**未取得のプレースホルダは560,004バイト
  • ダウンロードは2段階。ファイルは最後にまとめて書かれるので途中経過は見えない
  • 完了確認はサイズではなく最終ティックの日付で行う

手順そのものは難しくありません。難しいのは、うまくいっていないことに気づくことでした。

出典

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の製品を推奨するものではありません。画面と仕様は2026年8月時点の確認内容です。