検証ラボ ── 2026-08-23

SQXのビルディングブロックとは — 戦略を組み立てる「部品」の仕組みと設定

最初の戦略生成の記事で、Builderの設定サマリーに「Building blocks: 117 entry blocks」という表示が出てきました。今回はこの**ビルディングブロック(建材)**の話です。SQXの生成の仕組みを理解するうえで、いちばん土台になる概念です。

ビルディングブロックとは

SQXのBuilderは、戦略をゼロから発明しているわけではありません。あらかじめ用意された「部品」を組み合わせて、エントリー条件と決済ルールを大量に作っています。この部品がビルディングブロックです。

たとえば「CCI(14)が上向きになった」「終値がボリンジャーバンドの上限を超えた」といった条件のかけら、損切り・利食いの水準、トレーリングストップのような決済タイプ、成行・逆指値のような注文タイプ——これらすべてが部品としてリスト化されていて、遺伝的アルゴリズムがこの部品箱から取り出しては組み合わせを試します。

部品は全部で515個ある(Build 144実測)

プロジェクトファイルの定義を数えたところ、部品は全部で515個ありました。

種別個数中身
Signals339「ADXが上昇に転じた」のような完成された条件。生成の主力
Indicators106指標そのもの。演算子とランダムに組み合わせて新しい条件を作る素材
Stop/Limit水準58損切り・利食いの置き方(ATR倍数、直近高安など)
決済タイプ8プロフィットターゲット、ストップロス、トレーリング、N本後決済など
注文タイプ4成行、逆指値(ストップ)、指値など
合計515

SignalsとIndicatorsの違いは重要です。Signalsは人間が設計した「意味のある条件」の完成品、Indicatorsは指標を機械的に組み合わせて未知の条件を作るモードで、意味をなさない組み合わせが生まれることもあるとSQX自身が注記しています。まずはSignals中心で考えれば十分です。

設定画面はどこにあるか

Builder → Full settings → Building blocks で部品の有効/無効を切り替えられます。

SQXのBuilding blocks設定画面。Signalsのブロック一覧(Use・Weight・Parameters列)と、右側にOrder types、Exit typesの設定がある
Building blocksの設定画面。左がSignals(この構成では88ブロック選択)、右が注文タイプと決済タイプです

見方は3列だけ覚えれば大丈夫です。

  • Use: このブロックを部品箱に入れるか
  • Weight: 選ばれやすさの重み(大きいほど採用されやすい)
  • Parameters: パラメータの生成範囲(Default/Custom)

右側のExit typesでは、Profit TargetとStop Lossが「Required(必須)」にできる点も覚えておくと便利です。最初の戦略生成で使ったDefault (forex)設定が「SL&PT required」となっていたのはこの設定です。

画面右側にある**注文タイプ(Order types)と決済タイプ(Exit types)**は、それぞれ別記事で詳しく解説しています: 注文タイプ4種の説明 / 決済タイプ8種の説明

罠: 「既定=全部入り」ではない

ここからが本題です。既定の設定では、515個のうちごく一部しか有効になっていません。

これは私自身が実際に踏んだ罠で、初期の検証で「大規模な探索をした」と思い込んでいたら、実際に有効だったのは移動平均系のわずか12ブロックだけだった、ということがありました。有効ブロック数が違えば探索している空間はまったくの別物です。それ以来、検証記録には必ず「有効ブロック数」を書くようにしています。

Builderの設定サマリーに出る「117 entry blocks」のような表示や、Building blocks画面の「88 blocks selected」という数字が、いま自分が使っている部品箱の実際の大きさです。生成を回す前に一度確認する癖をつけてください。

ブロックを増やせば勝てる戦略が出やすくなる?

直感的には「部品が多い=良い戦略が見つかりやすい」と思えますが、私の検証ではそうなりませんでした。

建材を8個から445個へ、条件の複雑度も広げて探索空間を約10万倍にしたことがありますが、未使用期間で測った歩留まり(前半PF中央値)は0.96→0.99と1.0を超えないままでした。「もっと広く探せばお宝が見つかる」という期待は、少なくとも私の実測では裏切られています。

なのでブロック選択は「量を増やす装置」ではなく、「どんなスタイルの戦略を作りたいか」を表現する場所と考えるのがおすすめです。実際、既定設定のプリセット(Trend following / Mean reversalなど)は、まさにブロック構成の違いでスタイルを作り分けています。

実務の指針3つ

  1. まずは既定プリセットのまま使う。 ブロック調整は生成〜検証の流れに慣れてからで遅くありません
  2. 触るなら「増やす」より「絞る」。 作りたいスタイルに関係ない部品を外すほうが、結果の解釈がしやすくなります
  3. 変更したら有効ブロック数をメモする。 「どの部品箱から生まれた戦略か」が分からないと、検証の再現も比較もできなくなります

まとめ

  • ビルディングブロックはSQXの戦略生成の「部品」。全515個(Signals 339が主力)
  • 設定は Builder → Full settings → Building blocks(Use/Weight/Parameters)
  • 既定では一部しか有効になっていない。「何個有効か」を必ず確認・記録する
  • 部品を増やしても歩留まりは上がらなかった(実測)。ブロックは量ではなくスタイルの表現

次回は、生成した戦略の結果(databank)の見方を扱う予定です。

※本記事の個数・画面・実測値はBuild 144・私の環境でのものです。ブロック数はバージョンによって変わることがあります。