資料室 ── データ品質 ── 更新 2026-09-08

固定スプレッドは時計で切り替わっていた — 1日3回と8万回

以前、同じフィードの22銘柄を検査した記事で、株価指数CFDのスプレッドが16種類しかないことを書きました。上位4種で99.6%です。

そのとき、こう書いて終わりました。

なぜ4段階なのかは分かりません。

**半分だけ分かりました。**切り替わるタイミングを数えたら、時間帯に対応していたのです。

結論

  • 株価指数CFDのスプレッドは、東京・ロンドン・ニューヨークの時間帯で3段階に切り替わっていました
  • 切り替わりは1日あたり3.3回。同じ期間の米ドル/円は1日あたり80,342回です
  • bidとaskが常に同じだけ動きます。8,630万ティックのうち、片側だけが動いたのは22件だけでした
  • つまりaskはbidから作られていると見るのが自然です
  • 「固定」と「変動」は0か1ではなく、切り替わる回数で連続的に測れます

何を測ったか

  • データ: ForexTester 6 の Advanced Data Feed が配信するティック
  • 期間: 2023年8月25日〜2026年8月23日
  • 対象: 株価指数CFD(US30)8,630万ティック、米ドル/円9,317万ティック、天然ガス756万ティック
  • 測るもの: 前のティックからスプレッドが変わったかどうか。変わった回数と、時間帯ごとの段階の内訳

前回は値の種類を数えました。今回は値が変わる回数を数えます。同じデータから別の角度を見ています。

結果1:3つの時間帯に対応していた

株価指数CFDのスプレッドを、時間帯ごとに分解します。単位は指数のポイントです。

日本時間主な値占有率
7時〜16時5.0095〜99%
17時〜21時3.5099〜100%
22時〜翌4時2.0070〜78%(残りは2.40)

きれいに東京・ロンドン・ニューヨークの時間帯です。

原資産が米国の株価指数なので、現物市場が開いている時間がいちばん狭く(2.00)、閉じている時間がいちばん広い(5.00)。方向としては筋が通っています。

切り替わりの内訳も、この3段階を行き来しているだけでした。

遷移回数(3年)
5.00 → 3.50751
3.50 → 2.00611
2.00 → 5.00611

1日1周です。

米国時間だけ2種類混ざるのは分かりません

日本時間22時〜翌4時では **2.00 が77%、2.40 が22%**と、2つの値が混ざります。この時間帯にだけ現れます。

理由は分かりませんでした。分からないものは分からないと書いておきます。

結果2:切り替わる回数が24,000倍違う

「固定スプレッド」と「変動スプレッド」は、言葉では別のものに聞こえます。数えると連続した量でした。

銘柄集計日数切り替わった回数1営業日あたりスプレッドが変わらなかったティック
株価指数CFD771日2,5533.3回99.997%
天然ガス876日5,328,6656,083回29.55%
米ドル/円936日75,199,71380,342回19.29%

株価指数CFDは米ドル/円の約24,000分の1しか動きません。

天然ガスがその中間にあるのが面白いところです。前回「粗いが連続」と判定した銘柄で、値の種類は47種類しかないのに、切り替わりは1日6,000回あります。種類が少ないことと、動かないことは別でした。

集計日数が違うのは、株価指数CFDが日曜夜に取引されないためです。1営業日あたりに直して比べています。

結果3:bidとaskが常に同じだけ動く

いちばんはっきりしたのがこれでした。

連続する2つのティックを見て、bidだけが動いたのか、askだけが動いたのか、両方動いたのかを数えます。

銘柄bidだけaskだけ両方両方のうち同方向
米ドル/円24.94%23.36%49.49%78.82%
ユーロ/米ドル28.17%27.85%42.70%78.80%
英ポンド/円18.29%18.40%61.53%78.20%
株価指数CFD10件12件99.91%100.00%

為替では片側だけが動くティックが4〜6割あります。bidとaskはほぼ対称で、どちらかが先に動くという偏りはありませんでした。

株価指数CFDは違います。8,630万件のうち、片側だけが動いたのは合計22件。残りはすべて、bidとaskが同じ方向に同じだけ動いています。

これはaskがbidから作られているということです。段階値を足しているだけなら、当然そうなります。

前回の記事では「4段階の設定値が切り替わっているだけ」と書きました。より正確には、価格が1本あって、そこに時間帯ごとの幅を足している、という形でした。

「固定」と「変動」を測る3つの数字

ここまでを実務向けに整理します。手元のデータがどちらなのかは、3つ数えれば分かります。

  1. 値の種類を数える。数十種類しかなければ市場の値ではない(前回の記事)
  2. 切り替わる回数を数える。1日数回なら設定値
  3. 片側だけ動くティックの割合を数える。ゼロに近ければaskは作られている

3つとも、ティックを順に読んで数えるだけです。難しい処理は要りません。

そして、この3つは同じ方向を指しました。株価指数CFDは3つとも極端で、為替は3つとも連続的でした。

実務でどう使うか

  • 株価指数CFDでスプレッドを条件に入れる検証は、時計を条件に入れているのと同じです。時間帯で3段階に決まっているので、最適化しても時間帯を選んでいるだけになります
  • **その代わり、時間帯を条件にした検証なら素直に効きます。**日本時間22時以降は2.00、朝は5.00と分かっているので、バックテストのスプレッドをいくらに置くかで悩む必要がありません
  • 為替では「片側だけ動く」が4〜6割あります。スプレッドの拡大は両側が同時に引くとは限りません
  • ここで扱った株価指数CFD・天然ガスの値は業者が作る商品の設定値です。原市場の値ではありません(資産クラス横断の記事と同じ但し書きです)
  • **自分が使うデータで同じ3つを数えてください。**配信元が違えば結果も違うはずです

データの見方(方法と限界)

  • 1つの配信元のデータです。他の配信元が同じ形とは限りません
  • 株価指数CFDは1銘柄だけです。他の指数を検査していません
  • 「askがbidから作られている」は、データの形からの推測です。仕様は公開されていません
  • 米国時間に2.00と2.40が混ざる理由は分かりません
  • **切り替わり回数は配信の密度に依存します。**ティックが多い銘柄ほど切り替わる機会も多くなります。1営業日あたりで揃えていますが、この影響は残ります
  • 3年分です
  • 集計期間は共通のフィルタを通しています

まとめ

  • 株価指数CFDのスプレッドは東京5.00 / ロンドン3.50 / ニューヨーク2.00の3段階だった
  • 切り替わりは1日3.3回。米ドル/円は1日80,342回。24,000倍の差
  • bidとaskが常に同じだけ動く(片側だけは8,630万件中22件)。askは作られている
  • 「固定」と「変動」は0か1ではなく、切り替わる回数で測れる
  • 米国時間に2種類混ざる理由は分からない

前回「分かりません」と書いたことの半分に、答えが出ました。残り半分は分からないままです。

出典

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や取引時間の利用を推奨するものではありません。数値は集計期間における実測値であり、将来の結果を保証するものではありません。