資料室 ── 市場構造・コスト ── 更新 2026-09-11
年末年始で本当に危ないのは2日だけだった — クリスマスと元日は、値がつく回数が平常の数%になる
「年末年始は流動性が薄いから気をつけろ」
よく言われます。**では、いつが薄いのでしょうか。**12月24日からでしょうか。大晦日でしょうか。
祝日を測ったときは、祝日をまとめて扱いました。今回は日別に見ます。
結果は明快でした。危ないのは2日だけです。
結論
- 12月24日〜1月5日の大半は、普通の日でした。スプレッドは平常の1.00〜1.33倍
- 12月25日と1月1日だけが桁違いです
- この2日は**値がつく回数が平常の2〜6%**まで落ちます。50分の1から17分の1です
- スプレッドの中央値は2.0〜5.7倍、90%点は10倍超(米ドル/円で11.0銭、ユーロ/米ドルで10.8pips)
- 祝日を「まとめて」測ると、この2日は見えません。中央値がティックの数で重み付けされるためです
何を測ったか
- データ: ForexTester 6 の Advanced Data Feed が配信するティック
- 期間: 2023年8月25日〜2026年8月23日(年末年始は3回分)
- 対象: 米ドル/円、ユーロ/米ドル
- 測るもの: スプレッドの中央値・90%点と、1日あたりのティック数
- **ロールオーバーの前後30分は除いています。**桁が違うので混ぜると日別の差が消えます
- 土日は除いています
3回分しかありません。しかも曜日の巡り合わせで、日付によっては1〜2回しかサンプルがありません。この記事の数字はそのつもりで読んでください。
結果:悪いのは2日だけ
米ドル/円(平常日753日:中央値0.6銭、1日あたり117,450ティック)
| 日付 | 年数 | 中央値 | 平常比 | 90%点 | 1日あたりティック | 平常比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 12/24 | 2 | 0.8銭 | 1.33倍 | 1.1 | 84,591 | 0.72倍 |
| 12/25 | 3 | 2.3銭 | 3.83倍 | 11.0 | 7,342 | 0.06倍 |
| 12/26 | 3 | 0.7銭 | 1.17倍 | 1.1 | 86,983 | 0.74倍 |
| 12/27 | 2 | 0.7銭 | 1.17倍 | 1.0 | 118,705 | 1.01倍 |
| 12/29 | 2 | 0.6銭 | 1.00倍 | 0.9 | 102,185 | 0.87倍 |
| 12/30 | 2 | 0.6銭 | 1.00倍 | 1.0 | 87,473 | 0.74倍 |
| 12/31 | 2 | 0.8銭 | 1.33倍 | 1.1 | 91,321 | 0.78倍 |
| 1/1 | 3 | 1.3銭 | 2.17倍 | 5.8 | 3,485 | 0.03倍 |
| 1/2 | 3 | 0.7銭 | 1.17倍 | 1.1 | 112,900 | 0.96倍 |
| 1/3 | 2 | 0.7銭 | 1.17倍 | 0.9 | 130,394 | 1.11倍 |
| 1/5 | 2 | 0.6銭 | 1.00倍 | 0.8 | 130,689 | 1.11倍 |
ユーロ/米ドルでも同じ形でした。
| 日付 | 中央値 | 平常比 | 90%点 | 1日あたりティック | 平常比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12/25 | 1.7pips | 5.67倍 | 10.8 | 4,348 | 0.06倍 |
| 1/1 | 0.6pips | 2.00倍 | 3.2 | 1,860 | 0.02倍 |
| その他の日 | 0.3pips | 1.00倍 | 0.4〜0.6 | 47,086〜86,667 | 0.61〜1.13倍 |
ユーロ/米ドルは、12/25と1/1以外のすべての日で中央値が平常と完全に同じでした。
「年末年始は薄い」は、粗すぎる言い方だった
期間全体でまとめると、こうなります。
| 中央値 | 1日あたりティック | |
|---|---|---|
| 米ドル/円・年末年始(28日) | 0.7銭(1.17倍) | 86,685(0.74倍) |
| ユーロ/米ドル・年末年始(28日) | 0.3pips(1.00倍) | 54,267(0.71倍) |
まとめると「ちょっと薄い」程度に見えます。
日別に割ると、2日が極端で、残りは普通という姿でした。平均が実態を隠していたわけです。
前の記事の測り方の弱点
これは、祝日の記事の測り方の限界でもあります。あちらでは「両国とも休み」の日をまとめて、スプレッドの中央値は平常の1.00倍だと書きました。
その中央値は、ティックの数で重み付けされています。
12月25日はティックが平常の6%しかありません。つまりその日のデータは、中央値にほとんど寄与しません。極端に悪い日ほど、まとめた数字に反映されないのです。
**静かな日ほど、静かだという理由で見えなくなる。**測り方として、ここは弱点でした。前の記事にも注記を足しています。
日別に割ったことで、初めて見えました。
これは前の記事と矛盾しないのか
矛盾しません。むしろ、前の記事の説明を細かくします。
流動性を4つの物差しで測った記事で、こういう関係を出しました。
| ティック数 | スプレッド |
|---|---|
| 0.72倍 | 1.2倍 |
| 0.40倍 | 2.0倍 |
| 0.16倍 | 8.2倍 |
非線形です。少し薄いだけならスプレッドは動かず、極端に薄くなると跳ねます。
年末年始の数字を、この表に並べてみます。
| ティック数 | スプレッド | |
|---|---|---|
| 普通の祝日 | 0.24倍 | 1.00倍 |
| 12/25 | 0.06倍 | 3.83倍 |
| 1/1 | 0.03倍 | 2.17倍 |
普通の祝日と、クリスマス・元日は、別の状態でした。
前の記事では「祝日は取引する人が減るだけで、値を出す人は営業している」と書きました。クリスマスと元日は、値を出す側も休んでいる、と考えると筋が通ります。
つまり**「祝日」の中に2種類あった**、というのが今回分かったことです。
実務でどう使うか
- 避けるべきは12月25日と1月1日です。年末年始をまるごと避ける必要は、この3年に関しては見当たりませんでした
- この2日は、スプレッドの90%点が10倍超です。米ドル/円で11.0銭。逆指値がその幅で滑りうると考えてください(1ティックの値飛び)
- ポジションを持ち越すなら、この2日をまたぐかどうかが判断材料になります
- 12月24日と大晦日は1.33倍でした。気をつける価値はありますが、桁は違います
- 「年末年始は薄い」で片付けず、日付で見てください
データの見方(方法と限界)
- **3回分の年末年始しかありません。**曜日の巡り合わせで、日付によっては1〜2サンプルです。12月28日と1月4日は1回だけなので、表から外しました
- 1つの配信元のデータです。ForexTester 6 の Advanced Data Feed で、その先の流動性提供元は公開されていません。別の配信元では、休む範囲が違う可能性があります
- 2通貨ペアだけです
- **土日を除いています。**12月25日や1月1日が土日にあたる年は、そもそも含まれません
- **ロールオーバーの前後30分を除いています。**除かないと日別の差がそこで決まります
- **半休(取引時間の短縮)は区別していません。**12月24日や大晦日は、実際には取引時間が短い場合があります。その日のティック数が少ないのは、薄いからではなく短いからかもしれません
- 年末年始の相場そのものについては何も言えません。ここで見ているのはコストと流動性だけです
まとめ
- 12/24〜1/5 の大半は普通の日(中央値1.00〜1.33倍)
- 危ないのは12月25日と1月1日の2日だけ
- この2日は値がつく回数が平常の2〜6%、スプレッドの90%点が10倍超
- 期間全体でまとめると「ちょっと薄い」に見える。平均が実態を隠していた
- **「祝日」の中に2種類ある。**普通の祝日と、値を出す側も休む日
「年末年始は薄い」は正しいのですが、薄いのは13日のうち2日でした。
出典
- 集計データ: ForexTester 6 の Advanced Data Feed が配信するティック。2023年8月25日〜2026年8月23日、年末年始3回分、2通貨ペア。集計スクリプトは自作
- 祝日全般: 祝日のスプレッドは開かなかった(当サイト)
- 流動性の物差し: 同じくらい薄いのに、片方は8倍開き、片方はまったく開かなかった(当サイト)
- 最悪値: 逆指値はどこまで滑りうるか(当サイト)
- 週末・祝日の仕組み: 週末ギャップと祝日(当サイト)
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の取引や時期を推奨するものではありません。数値は集計期間における実測値であり、将来の結果を保証するものではありません。